役割
新素材開発ユニットでは、シルクのタンパク質が持つ特徴を詳しく知ること、シルクに新たな機能性を付加すること、カイコ以外の昆虫が作る未知・未利用シルクを探索すること、および素材として使える形にシルクを成形加工する技術を開発することを目的に研究を行っています。目標は、成形加工したシルクを新素材として実用化することです。
主な研究テーマ
遺伝子組換えカイコが作る強靭なシルク 「クモ糸シルク」の開発
最強の天然繊維といわれるクモ糸の性質と、高級繊維としてのシルクの性質を合わせもつ「クモ糸シルク」を生産するカイコの実用品種を作出しました。クモ糸シルクは、通常シルクの1.5倍の切れにくさを持ちます。クモ糸に匹敵する強い天然繊維の織物を世界で初めて機械加工により生産しました。
主な研究テーマ
スズメバチの幼虫が作るシルク「ホーネットシルク」の素材化
スズメバチの幼虫が"まゆ"を作るために吐糸する繊維は、ホーネットシルクというタンパク質でできています。ホーネットシルクは、カイコやクモのシルクとは異なった分子構造(コイルドコイル構造)を有していることを見出しました。また、成形加工性に優れていることもわかり、素材の物性も優れていることから、様々な分野での材料応用を期待して研究を進めています。
主な研究テーマ
クリック反応によって望みの機能を付加できる新シルク素材「クリッカブルシルク」の作出と利用
遺伝子組換えによってカイコのアミノ酸認識能を拡張することにより、アジド基という特殊な官能基を組み込んだ新しいシルク素材「クリッカブルシルク」を作出しました。このクリッカブルシルクは、簡単・確実な化学反応であるクリック反応によって、望みの機能を自在に付加することができます。本研究によって、医療分野等へのシルクの利用可能性が大きく向上すると期待されます。