果樹研究所

一押し旬の話題

2012年9月15日

ワリンゴ(和リンゴ)

ワリンゴ(和リンゴ)

そろそろ昨年産の貯蔵リンゴ「ふじ」も無くなり、今年産の「さんさ」や「つがる」などの早生リンゴに代わってきました。
今、私たちが食べているリンゴの品種は、明治以後に導入された品種です。
最初に導入された品種の中には「紅玉」「国光」と言った、探せば今でも栽培されている品種もあります。
それらを品種改良して、今の「ふじ」などになっているのです。

ワリンゴ「金沢在来」
ワリンゴ「加賀藩在来」

明治以前の江戸時代でも、国内ではリンゴの栽培は行われていました。
明治以後のリンゴの導入により急速に廃れてしまいましたが、由来したとされる地域名を系統の名として、地域に残っているものもあります。それらはワリンゴ(和リンゴ)と呼ばれています。

以前紹介しましたが、皇居の東御苑では、江戸時代に栽培されていたワリンゴが植えられています。

今年は果実が付いていませんので残念ながら姿を見ることができませんが、「加賀藩在来」、「リンキ」、「高坂リンゴ」が植えられています。

●「加賀藩在来」は、石川県の加賀地方で「加賀リンゴ」の名前で食用栽培されていたもので、本系統はそれに由来すると思われます。
●「リンキ」は、青森県津軽地方で栽培されていた系統で、中部地方のワリンゴよりもやや果実が小さいのが特徴です。
●「高坂リンゴ(こうさかりんご)」は、長野県北部の飯綱町高坂地区周辺に古くから伝わるワリンゴで、江戸時代には善光寺でお盆のお供えとして売られていたそうです。このリンゴは、完熟して落下する前に皮が剥けてくるのが特徴です。

ワリンゴ「リンキ」
ワリンゴ「リンキ」

ワリンゴ「高坂リンゴ」
ワリンゴ「高坂リンゴ」

現在、ワリンゴはほとんどなくなってしまいましたが、わずかな農家が栽培して、お盆のお供えなどとして、その伝統を残しています。
来年はその姿が見られると良いですね。

旬の果物

さて、八百屋さんの店先には果物が一杯です。今年は、雨が少なく、ナシ、ブドウ、モモなど、どれをとっても美味しい果実ばかりです。
ナシは「幸水」から「豊水」へ、そして「あきづき」と品種が代わっていきます。
ブドウも「巨峰」、「ピオーネ」ばかりでなく、「シャインマスカット」も出ています。美味しさを味わって下さい。

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