トルコギキョウは、強い光と高温で開花が促進される性質のため、太陽の光が弱温度が低い冬には咲きにくくなります。1輪に15~30枚の花びらが詰まっている八重の品種の冬の生産は特に難しいため、安定的に栽培する技術の研究を行っています。 柔らかくて豪華な印象を持つ、トルコギキョウ、八重の花。特別な日のフラワーアレンジメントとして贅沢に使って頂きたい花です。
九州全域と四国、紀伊半島の太平洋側と伊豆半島の一部に自生しているランで、11月中旬から下旬の寒くなる時期に、香りの良い花を咲かせるのでこの名前が付いています。写真のランは、薩摩寒ランの「白妙」です。花色は、赤、桃色、白、緑等があり、性質は極めて丈夫ですが、日照条件と根腐れには注意が必要です。また、早く大きくして増やそうと水や肥料等をやりすぎると元気がなくなる性質があり、栽培が難しいと言われる由縁です。
バラの含まれるバラ属には、約100種類の野生種が存在しており、約8種の野生種が長い年月を経て複雑に交雑された結果、現在のようなバラができたと言われています。つまりまだまだ利用されていない遺伝資源がたくさんあるわけです。ヨーロッパでは、バラの野生種のもつ耐暑性、耐病性などの未知もしくは失われた遺伝資源を効率的に導入するためにそうした遺伝子の染色体上の位置を示す地図(連鎖地図)の作成が試みられています。 将来的にはこれを使ってまた新しいバラが生まれてくるかもしれませんね。
キクは、わが国では明治時代後期に切り花生産が始まり、1935年頃にはすでに光周性を利用した開花調節により周年生産されていました。キクは年間20億本を超える切り花が生産され,切り花総生産額の約3分の1を占め,わが国で最も生産量が多い切り花です。近年は、房咲き性のスプレーギクの生産も多く、花色が多彩なことなどから洋風イメージのキクとして人気を集めていますが、今月9日は、重陽の節句。それにあわせて和風のアレンジをお届けします。
デルフィニウムは、花茎全体が美しく豪華で、青色をはじめ様々な花色を持つ花きです。花持ちが悪いためこれまで切花としての利用は難しかったのですが、薬剤を利用して花持ちを長くし、切花として花店で販売されるようになりました。花き研究所では、デルフィニウムの花持ちを良くするための研究を行っています。
トルコギキョウは北米大陸原産のリンドウ科の草花です。日本で品種開発が進み、現在も続々と新しい品種が発表されています。周年栽培されていますが、6~8月に多く生産され、価格も手ごろになります。花色には、紫・白・ピンク・あんず色・淡い黄色・淡い緑色・茶色等の豊富な色彩があります。写真は、白地に紫の縁取りの覆輪(ふくりん)模様と白い八重咲き。トルコギキョウの定番とも言える花色で涼しげなアレンジはいかがでしょうか。
「重イオンビーム」と呼ばれる、イオンの粒子を植物に照射することによって新たな性質を付与したトレニアです。重イオンビームは、作物の品種改良やがん治療ですでに実用化されている技術ですが、遺伝子組換え技術との組合せによって、花の色の濃淡だけでなく、花弁の配色パターン、形や大きさ、花の開き具合など、様々な性質が変化したトレニアを最短1年で100種類以上も作り出すことができます。
花持ち性は花きの重要形質の一つです。花きのホームユース需要が増加する中、消費者は花持ちの良い切り花を求めています。そこで花き研究所では、花持ちの優れるカーネーションの育種に取り組み、このほど極めて花持ちの優れる新品種「ミラクルルージュ」、「ミラクルシンフォニー」の作出に成功しました。両品種は、老化時のエチレン生成量が極めて少なく、シム系品種「ホワイトシム」の約3倍の優れた花持ち性を示します。
スプレーギクはキクの洋花としての用途開発を目的として、1974年に花き研究所の前身である野菜試験場の川田穣一室長(後の初代野菜・茶業試験場花き部長)が日本に導入しました。花き研究所では前身の野菜試験場時代から、スプレーギクの研究を行い、スプレーギクの普及と周年安定生産に大いに貢献してきました。スプレーギクは花数が多いのと日持ちが良いのが特徴で、色や形に豊富なバリエーションがあり、生け花からフラワーアレンジメントまでいろいろな楽しみ方ができる花です。