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農業と環境 No.181 (2015年5月1日)
国立研究開発法人農業環境技術研究所

ウェブマガジン「農業と環境」の180号までをふり返る

農業環境技術研究所が公式ウェブサイトに毎月公開してきた 「農業と環境」 が、先月で第180号に達しました。ここでは、その15年の経過をまとめておきたいと思います。

1.訪問者カウンター

「農業と環境」の各ページ右上あるいは右下のすみに、「訪問者カウンター」が表示されています。

このカウンターは、「農業と環境」 内のHTMLページを直前の利用者とは別の利用者が閲覧したときにだけ数字が増え、同じ利用者が「農業と環境」内のほかのページを続けて閲覧しているあいだは数字は変化しません。ですから、このカウンターの数字は「農業と環境」への、のべ訪問者数と見なすことができます。2000年5月の「情報:農業と環境」第1号の公開と同時に、このカウンターも動きはじめ、15年にわたってみなさんの訪問を数え続けています。

2000年度の訪問者数は1万4千人にすぎませんでしたが、2002年度には約6万人、2004年度には約12万人、2006年度には約18万人と、訪問者数を大きく増やし、カウンターが表示する合計の訪問者数は、2015年4月には約178万人となっています。

なお、2008年以降の訪問者数は、前年と同程度、あるいは前年を下まわるようになっています。農環研ウェブサイト内のほかのページが充実したことも原因の一つですが、もっとも大きな原因は、中継サーバを経由する閲覧や、パソコンやLANのセキュリティー対策の強化などによって、カウンターのプログラムが新たな訪問者を判別できないことが増えたためと考えられます。

「農業と環境」年度別訪問回数の推移(グラフ)
「農業と環境」年度別訪問回数の推移 (2000年5月〜2015年3月)

2.おもなシリーズ記事

(1) 本の紹介

2000年7月に公開された「情報:農業と環境」第3号の「生態系を破壊する小さなインベーダー」から「本の紹介」の掲載を開始し、179号の「「流域地図」の作り方−川から地球を考える」まで、約350冊を紹介しました。

(2) 論文の紹介

農業環境研究にかかわるさまざまな分野の海外論文を紹介する記事を掲載しています。最初に紹介されたのは、「地球規模で両生類の個体数が減少傾向を示している」(Quantitative evidence for global amphibian population declines. J.E.Houlahan et al. Nature 404:752-755 (2000) )でした。これまでに約200件の論文を紹介しました。

(3) 所内案内

農業環境技術研究所が農事試験場から受け継いだ貴重な遺産、特殊な施設などを紹介しました。とくに古いものを紹介した記事としては、「倭漢三才図会、康煕字典、本草綱目啓蒙、本草図譜、農政全書」、「農家益、書言故事」、「マックス・フェスカの土性図」、「96年前からの公害汚染植物」、「農事試験場における肥料依頼分析の記録」 などがあります。

(4) リサーチプロジェクト(RP)の紹介

農業環境技術研究所には、研究問題に対応する内部組織であるリサーチプロジェクト(略称 RP)が2006年から置かれています。2011年に再編された10のRPの最新の紹介記事を2014年の4月から9月まで掲載しました (温暖化緩和策作物応答影響予測食料生産変動予測生物多様性評価遺伝子組換え生物・外来生物影響評価情報化学物質・生態機能有害化学物質リスク管理化学物質環境動態・影響評価農業空間情報・ガスフラックスモニタリング農業環境情報・資源分類)。

(5) 国際情報

海外で開催された国際学会や専門家会合・現地調査などに参加した研究者による報告記事(国際会合等参加)を2008年から掲載しています、会議などの概要だけでなく、各研究分野の国際的な動向についての解説や参加の感想などを、写真をまじえて報告しています。

(6) 土壌肥料学

2008年7月から2009年2月まで、土壌肥料学にかかわるエッセイが8回にわたって連載され、多くの方に読まれています (朝日長者伝説と土壌肥料学司馬史観による日本の森林評価と土壌肥料学徳川綱吉と土壌肥料学リービッヒの無機栄養説と土壌肥料学火山国ニッポンと土壌肥料学化学肥料の功績と土壌肥料学水田稲作と土壌肥料学(1)水田稲作と土壌肥料学(2))。

(7) ふしぎを追って

農業環境技術研究所が常陽新聞に連載した一般読者向けの研究紹介記事「ふしぎを追って−研究室の扉を開く」(24編)を、2009年7月から2010年6月まで掲載しました。「土の中の放射能: 自然放射性物質と人工放射性物質」、「土壌呼吸: 土から発生する二酸化炭素」、「メタン:水田から出る温室効果ガス」、「土の中の微生物:さまざまな働きを利用する」、「地名と農業:迅速測図と歴史的農業環境閲覧システム」などが、よく読まれています。

(8) 注目の技術

農業環境技術研究所が日本農民新聞に連載した技術紹介記事「明日の元気な農業へ注目の技術」(18編)を、2012年12月から2013年11月まで掲載しました。「新しい低コスト土壌消毒法 ―低濃度エタノールを用いて―」、「農地の放射能汚染の実態を知る:土壌の放射性セシウム濃度分布図の作成」、「放射能モニタリング調査 −原発事故後の対策に活用−」、「農薬は環境で使われる「薬」」、「農耕地土壌の百科事典 「土壌情報閲覧システム」」などが、よく読まれています。

(9) 農環研ウェブ高座「農業環境のための統計学」

2012年8月から2013年8月まで、生態系計測研究領域 三中信宏 上席研究員による農環研ウェブ高座「農業環境のための統計学」(全12回)を連載しました。最終回「パラメトリック統計学の世界を眺める」に掲載リストがあります。

(10) 農業環境技術研究所の30年

農業環境技術研究所が1983年(昭和58年)12月に設置されてから2013年(平成25年)12月で30周年を迎えました。そこで、この30年間のさまざまな研究の経過や成果をふり返り、これからを展望する記事 「農業環境技術研究所の30年」(全10回)を掲載しました (大気環境研究物質循環研究土壌環境研究有機化学物質研究生物多様性研究生物生態機能研究生態系計測研究農業環境インベントリー研究放射性物質研究多面的機能研究)。

3.よく読まれた記事

第61号(2005年5月)から「農業と環境」のページ構成を変更し、記事ごとのアクセス記録を残せるようになりました。ここでは179号(2015年3月)までに掲載された約1100件の記事のうち、通算の閲覧回数の多いものを、記事公開された年度ごとにリストしました。

2005年5月から2015年3月までの間に多く読まれた記事
公開時期記事名閲覧回数
2005年度 国際情報:「新しい緑の革命」へ−IRRIの環境研究方針 15,858
外来生物被害防止法と特定外来生物に指定された外来植物 13,927
本の紹介:世界の食料不安の現状2004年報告世界の飢餓人口半減に向かって 13,741
国際情報:コーデックス委員会の食品カドミウム規格 11,240
本の紹介:鉄理論=地球と生命の奇跡 11,061
2006年度 国際情報:適正農業規範(GAP) 12,889
本の紹介:硝酸塩は本当に危険か −崩れた有害仮説と真実 10,243
2006年度RP紹介(11) 温室効果ガスRP 9,024
論文の紹介:コドラート調査における“種の豊富さ”のベイズ推定 7、665
2006年度RP紹介(1) 有機化学物質リスク評価RP 7,525
2007年度 GMO情報:バイオ燃料と遺伝子組換え作物−トウモロコシの連作を可能にした技術 8,561
GMO情報:ビタミンA強化米 ゴールデンライスの開発阻害要因 8,426
GMO情報:Btコーンはマイコトキシン(カビ毒)の被害をほんとうに減らすのか? 6,649
本の紹介:地球の悲鳴 −環境問題の本100選− 6,438
本の紹介:メディア・バイアス あやしい健康情報とニセ科学 6,377
2008年度 水田稲作と土壌肥料学(2) 10,404
GMO情報:スターリンクの悲劇 〜8年後も残るマイナスイメージ〜 10,275
リービッヒの無機栄養説と土壌肥料学 9,579
火山国ニッポンと土壌肥料学 9,554
化学肥料の功績と土壌肥料学 8,682
2009年度 土の中の放射能:自然放射性物質と人工放射性物質 (常陽新聞連載) 14,557
土壌呼吸:土から発生する二酸化炭素 (常陽新聞連載) 10,466
メタン:水田から出る温室効果ガス (常陽新聞連載) 9,655
土の中の微生物:さまざまな働きを利用する (常陽新聞連載) 8,494
GMO情報:除草剤抵抗性雑草 正しく使えば問題なし 8,169
2010年度 GMO情報: 組換え作物のメリットとデメリット 10,312
GMO情報:北米のBtトウモロコシ、想定外と想定内の報告 5,957
土の緩衝作用:作物を守るヘルメット (常陽新聞連載) 5,617
本の紹介:地球生命は自滅するのか? −ガイア仮説からメデア仮説へ 4,813
ヒ素に関する第72回JECFA報告と農業環境技術研究所の研究 4,732
2011年度 農環研における放射能モニタリングの研究について(リンク集) 45,019
GMO情報:小麦のゆくえ、2020年に組換え品種登場予定 7,720
論文の紹介:水中のヒ素の酸化・除去技術 6,652
農業分野の温室効果ガスに関するグローバル・リサーチ・アライアンス(1) 5,113
本の紹介:チェルノブイリ事故による環境影響とその修復 5,011
2012年度 食品中の放射性物質の新基準値 −松永和紀氏の講演を聞いて 8,408
農環研ウェブ高座「農業環境のための統計学」第1回 6,723
新しい低コスト土壌消毒法(日本農民新聞連載) 5,342
農業環境中に存在する放射性核種の一般公開システム 4,799
第5回農環研サイエンスカフェ 「生き物の世界を分類するまなざし」開催案内 4,569
2013年度 国立科学博物館企画展 「日本はこうして日本住血吸虫症を克服した−ミヤイリガイの発見から100年」 10,344
農地の放射能汚染の実態を知る−土壌の放射性セシウム濃度分布図の作成 (日本農民新聞連載) 4,370
第6回農環研サイエンスカフェ: 歌でわかる「農業と外来生物」開催案内 3,604
放射能モニタリング調査−原発事故後の対策に活用− (日本農民新聞連載) 3,381
本の紹介: 放射能は取り除ける−本当に役立つ除染の科学 3,336
2014年度 農業環境技術研究所の30年(9)放射性物質研究の系譜 7,282
国際セミナー「重金属及び放射能汚染土壌の管理と修復」 報告 5,879
在外研究(ベルギー・ゲント大学) 報告 3,801
第20回世界土壌科学会議 参加報告 3,699
農業環境技術研究所の30年(7)生態系計測研究の系譜 3,015
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