農業環境技術研究所が公式ウェブサイトに毎月公開してきた 「農業と環境」 が、先月で第180号に達しました。ここでは、その15年の経過をまとめておきたいと思います。
「農業と環境」の各ページ右上あるいは右下のすみに、「訪問者カウンター」が表示されています。
このカウンターは、「農業と環境」 内のHTMLページを直前の利用者とは別の利用者が閲覧したときにだけ数字が増え、同じ利用者が「農業と環境」内のほかのページを続けて閲覧しているあいだは数字は変化しません。ですから、このカウンターの数字は「農業と環境」への、のべ訪問者数と見なすことができます。2000年5月の「情報:農業と環境」第1号の公開と同時に、このカウンターも動きはじめ、15年にわたってみなさんの訪問を数え続けています。
2000年度の訪問者数は1万4千人にすぎませんでしたが、2002年度には約6万人、2004年度には約12万人、2006年度には約18万人と、訪問者数を大きく増やし、カウンターが表示する合計の訪問者数は、2015年4月には約178万人となっています。
なお、2008年以降の訪問者数は、前年と同程度、あるいは前年を下まわるようになっています。農環研ウェブサイト内のほかのページが充実したことも原因の一つですが、もっとも大きな原因は、中継サーバを経由する閲覧や、パソコンやLANのセキュリティー対策の強化などによって、カウンターのプログラムが新たな訪問者を判別できないことが増えたためと考えられます。
「農業と環境」年度別訪問回数の推移 (2000年5月〜2015年3月)
2000年7月に公開された「情報:農業と環境」第3号の「生態系を破壊する小さなインベーダー」から「本の紹介」の掲載を開始し、179号の「「流域地図」の作り方−川から地球を考える」まで、約350冊を紹介しました。
農業環境研究にかかわるさまざまな分野の海外論文を紹介する記事を掲載しています。最初に紹介されたのは、「地球規模で両生類の個体数が減少傾向を示している」(Quantitative evidence for global amphibian population declines. J.E.Houlahan et al. Nature 404:752-755 (2000) )でした。これまでに約200件の論文を紹介しました。
農業環境技術研究所が農事試験場から受け継いだ貴重な遺産、特殊な施設などを紹介しました。とくに古いものを紹介した記事としては、「倭漢三才図会、康煕字典、本草綱目啓蒙、本草図譜、農政全書」、「農家益、書言故事」、「マックス・フェスカの土性図」、「96年前からの公害汚染植物」、「農事試験場における肥料依頼分析の記録」 などがあります。
農業環境技術研究所には、研究問題に対応する内部組織であるリサーチプロジェクト(略称 RP)が2006年から置かれています。2011年に再編された10のRPの最新の紹介記事を2014年の4月から9月まで掲載しました (温暖化緩和策/作物応答影響予測/食料生産変動予測/生物多様性評価/遺伝子組換え生物・外来生物影響評価/情報化学物質・生態機能/有害化学物質リスク管理/化学物質環境動態・影響評価/農業空間情報・ガスフラックスモニタリング/農業環境情報・資源分類)。
海外で開催された国際学会や専門家会合・現地調査などに参加した研究者による報告記事(国際会合等参加)を2008年から掲載しています、会議などの概要だけでなく、各研究分野の国際的な動向についての解説や参加の感想などを、写真をまじえて報告しています。
2008年7月から2009年2月まで、土壌肥料学にかかわるエッセイが8回にわたって連載され、多くの方に読まれています (朝日長者伝説と土壌肥料学/司馬史観による日本の森林評価と土壌肥料学/徳川綱吉と土壌肥料学/リービッヒの無機栄養説と土壌肥料学/火山国ニッポンと土壌肥料学/化学肥料の功績と土壌肥料学/水田稲作と土壌肥料学(1)/水田稲作と土壌肥料学(2))。
農業環境技術研究所が常陽新聞に連載した一般読者向けの研究紹介記事「ふしぎを追って−研究室の扉を開く」(24編)を、2009年7月から2010年6月まで掲載しました。「土の中の放射能: 自然放射性物質と人工放射性物質」、「土壌呼吸: 土から発生する二酸化炭素」、「メタン:水田から出る温室効果ガス」、「土の中の微生物:さまざまな働きを利用する」、「地名と農業:迅速測図と歴史的農業環境閲覧システム」などが、よく読まれています。
農業環境技術研究所が日本農民新聞に連載した技術紹介記事「明日の元気な農業へ注目の技術」(18編)を、2012年12月から2013年11月まで掲載しました。「新しい低コスト土壌消毒法 ―低濃度エタノールを用いて―」、「農地の放射能汚染の実態を知る:土壌の放射性セシウム濃度分布図の作成」、「放射能モニタリング調査 −原発事故後の対策に活用−」、「農薬は環境で使われる「薬」」、「農耕地土壌の百科事典 「土壌情報閲覧システム」」などが、よく読まれています。
2012年8月から2013年8月まで、生態系計測研究領域 三中信宏 上席研究員による農環研ウェブ高座「農業環境のための統計学」(全12回)を連載しました。最終回「パラメトリック統計学の世界を眺める」に掲載リストがあります。
農業環境技術研究所が1983年(昭和58年)12月に設置されてから2013年(平成25年)12月で30周年を迎えました。そこで、この30年間のさまざまな研究の経過や成果をふり返り、これからを展望する記事 「農業環境技術研究所の30年」(全10回)を掲載しました (大気環境研究/物質循環研究/土壌環境研究/有機化学物質研究/生物多様性研究/生物生態機能研究/生態系計測研究/農業環境インベントリー研究/放射性物質研究/多面的機能研究)。
第61号(2005年5月)から「農業と環境」のページ構成を変更し、記事ごとのアクセス記録を残せるようになりました。ここでは179号(2015年3月)までに掲載された約1100件の記事のうち、通算の閲覧回数の多いものを、記事公開された年度ごとにリストしました。