農業環境技術研究所が公式Webサイトに毎月公開してきた「情報:農業と環境」が、今月で第100号を迎えました。ここでは、8年と4か月の経過をふり返っておきたいと思います。
1.訪問者カウンター
「情報:農業と環境」の各ページの右上には「訪問者カウンター」が表示されています。
このカウンターは、「情報:農業と環境」内の html ページを直前の利用者とは別の利用者が閲覧したときにだけ数字が増え、「情報:農業と環境」内のほかのページを同じ利用者が続けて閲覧しているあいだは数字は変化しないしくみになっています。ですから、このカウンターの数字は「情報:農業と環境」への、のべ訪問者数と見なすことができます。2000年5月の「情報:農業と環境」第1号の公開と同時に、このカウンターも動きはじめ、8年以上にわたってみなさんの訪問を数え続けています。
2000年度の訪問者数は1万4千人でしたが、2002年度には約6万人、2004年度には約12万人、2006年度には約18万人と、年度ごとに訪問者数を大きく増やし、カウンターが表示する合計の訪問者数は、2008年7月に90万人をこえました。月ごとの訪問者数を見ると、毎年7月と1月にピークがあり、8・9月と3・4月には落ち込むという、二山型の年間推移が見てとれます (下図を参照) 。
「情報:農業と環境」の月別訪問者数の推移
(2000年5月〜2008年6月)
ところで、2007年8月以降の毎月の訪問者数は、前年と同程度だったり、あるいは前年を下まわるようになっています。これは、農環研ウェブサイト内のほかのページが充実したことも原因の一つですが、もっとも大きな理由は、携帯電話による閲覧、PCやLANのセキュリティー対策の強化などによって、カウンターが新たな訪問者として感知できないことが増えたためと考えられます。
2.おもなシリーズ記事
a. 本の紹介
2000年7月に公開された「情報:農業と環境」第3号の「生態系を破壊する小さなインベーダー」から「本の紹介」の掲載を開始し、100号までに256冊を紹介しました。2005年2月までの約4年半の間に掲載された紹介文の一部は、陽 捷行 著 「地球の悲鳴 −環境問題の本100選−」(2007) に収録されています。
b.論文の紹介
農業環境研究にかかわるさまざまな分野の海外論文を紹介する記事を第3号から掲載しています。最初に紹介されたのは、「地球規模で両生類の個体数が減少傾向を示している」(Quantitative evidence for global amphibian population declines. J.E.Houlahan et al. Nature 404:752-755 (2000) を紹介)でした。これまでに紹介した論文は100件以上になります。
c. 所内案内
農業環境技術研究所が農事試験場から受け継いだ貴重な遺産、特殊な施設などを紹介しました。とくに古いものを紹介した記事としては、「倭漢三才図会、康煕字典、本草綱目啓蒙、本草図譜、農政全書」、「農家益、書言故事」、「マックス・フェスカの土性図」、「96年前からの公害汚染植物」、「農事試験場における肥料依頼分析の記録」、「横井時敬の書:盈科而進(えいかじしん)」などがあります。
また、農業環境技術研究所のユニークな研究施設などを紹介した記事として、「土壌生成調査実験圃場」、「無肥料・無農薬・不耕起圃場」、「遺伝子組換え植物隔離圃場」、「環境化学物質分析施設」、「ミニ農村」、「昆虫標本館」、「微生物標本館」、「土壌モノリス館」などがあります。
なお、土壌モノリス館は2005年4月に 農業環境インベントリー展示館 と名前を変えて、土壌モノリス展示室とともに昆虫・微生物展示室が新設され、2006年4月には 肥料・煙害展示室 もオープンしました。さらに、2008年4月には「世界の昆虫オブジェ展示コーナー」が開設され、農業環境に関する見学用施設として利用されています。展示館を見学されるときは、「見学の申し込みについて」 をご覧いただいた上で、農業環境技術研究所 広報情報室広報グループ (電子メール: kouhou@niaes.affrc.go.jp 、電話: 029-838-8191) まで、事前にお申込みください。
d. わが国の環境を心したひとびと
第43号(2003年11月)から第55号(2004年11月)まで、「わが国の環境を心したひとびと」と題して、さまざまな時代・分野の11人を紹介しました。取り上げられた人物は、熊澤蕃山、栗田定之丞、中川金治、ヨハネス・デ・レーケ、上杉鷹山、吉岡金市、岡田 温、岸本良一、古在由直、外山八郎、司馬遼太郎 です。
e. 農業環境研究:この国の20年
1983年12月の農林水産省農業環境技術研究所の設置から20年にわたる農業環境研究の成果と今後の展望を、10の研究分野ごとに整理し、紹介しました。
●農業生態系のもつ多面的機能、●農業分野における温室効果ガスの放出削減、●気候変動と食料生産予測、●空間情報に基づく農業環境資源のモニタリングと評価、●農業生態系における物質循環、●化学物質の動態と生物影響、●侵入・導入生物による農業生態系への影響、●生物を活用した持続的農業技術、●統計解析と情報システムの開発と利用、●農業環境インベントリー
上路雅子・清野豁・陽捷行共著「農業と環境―研究の軌跡と進展―」(養賢堂 2005年) (ページのURLが変更されました。2015年1月) は、これらの記事をもとにして編集・刊行されました。
f. 国際情報
2001年から2005年にかけて、欧州環境局(European Environment Agency)や欧州委員会(European Commission)などが公表した農業政策や科学研究にかかわる報告書、理事会規則を抄訳して紹介する記事を多数掲載しました。さらに、2005年5月から2006年4月まで、国際的な規格の制定や研究推進の動き、報告などを解説する「国際情報」シリーズを掲載しました。適正農業規範(GAP)(2006年4月)、 遺伝子組換え作物の商業栽培状況と通商紛争(2006年3月)、 新しい「緑の革命」へ −IRRIの環境研究方針−(2005年11月)、 コーデックス委員会の食品カドミウム規格(2005年8月) などは、現在でも多くの閲覧があります。
2007年6月から「GMO情報」として、遺伝子組換え生物(GMO)の世界的な栽培動向の報告書や環境影響の研究論文などを紹介・解説する記事を連載しています。バイオ燃料と遺伝子組換え作物 ―トウモロコシの連作を可能にした技術、 北米のBtトウモロコシ、農耕地生態系への想定外の影響 などが多く読まれています。
3.よく読まれた記事
61号(2005年5月)から「情報:農業と環境」のページ構成を大きく変更したことで、どの記事にアクセスがあったかの記録が残せるようになりました。ここでは61号以降に掲載された記事のうちでこれまでの閲覧回数の多いものを、公開された時期ごとに紹介します。