家畜伝染病

水胞性口炎(vesicular stomatitis)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:牛、水牛、鹿、馬、豚、いのしし

1.原因

 

 原因はRNAウイルスのラブドウイルス科(Rhabdoviridae)、ベシクロウイルス属(Vesiculovirus)の水胞性口炎ウイルス(Vesicular stomatitis virus)である。砲弾型のウイルス粒子に一本鎖(-)RNAのウイルスゲノムを含有している。原因となる主要な血清型はVesicular stomatitis New Jersey virus とVesicular stomatitis Indiana virusの2つである。

 

 

2.疫学


 発生はアメリカ大陸のみに限られる。2004〜2006年にかけてアメリカ合衆国で牛および馬でのVesicular stomatitis New Jersey virusの流行が続発し、カナダとの国境沿いまで拡大した。ウイルスは吸血昆虫(ダニ、サシバエ、蚊、ブヨ等)によって伝播されるため、発生に季節性がみられる。発生時には感染動物や汚染物との接触でも伝播する。

 

 

3.臨床症状(図)


 馬、ロバ、牛、豚、水牛などに感染する。緬山羊は臨床症状を示しにくい。潜伏期は2〜4日で、発熱の後、泡沫性の流涎や蹄・鼻、口腔内の水疱形成が見られる。2次的に食欲不振や跛行を示す。ヒトが感染した場合、インフルエンザ様の症状を示すことがある。

 

 

4.病理学的変化


 蹄、口腔内粘膜や舌に水疱、びらん、潰瘍が認められる。二次感染がなければ、1週間程度で治癒する。

 

 

5.病原学的検査


 病原学的検査には水疱液、水疱上皮等を用いる。
1)ウイルス分離:培養細胞や発育鶏卵を用いる。
2)抗原検出ELISA
3)RT-PCR

 

 

6.抗体検査


 ELISA、中和試験、および補体結合反応がある。

 

 

7.予防・治療


 治療は行わない。摘発・淘汰により、感染拡大を防止する。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)、馬の感染症第3版(JRA総研)

 OIE: Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animals

 OIE: Terrestrial Animal Health Code

 OIE: Technical disease cards

左・蹄冠部からの滲出益の漏出、右・舌の潰瘍(原図:JRA総研)
写真1:左・蹄冠部からの滲出益の漏出、右・舌の潰瘍(原図:JRA総研栃木支所)

編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:国際重要伝染病研究領域 大橋誠一

(平成24年5月31日 更新)

ページの先頭へ↑