届出伝染病

伝染性無乳症(contagious agalactia)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:めん羊、山羊

1.原因

 

 原因菌はMycoplasma agalactiae と呼ばれるマイコプラズマの一種である。本菌は短菌糸状や長菌糸状の多形を示し、典型的な「へそ」を持つ比較的小さな集落を形成する。M. capricolum subsp. capricolumM. mycoides subsp. mycoides LC(large colony) type、M. putrefaciens なども類似の疾病の原因となる。

 

 

2.疫学


 本症は、世界各地に分布している。伝染力は極めて強く、汚染乳汁の飛沫感染、経口感染や接触感染を介して感染が広がり、母畜から胎子への垂直感染もみられる。近年では、アフリカ南西部、中東・西アジア、ヨーロッパ、北米に多く発生しており、日本では2006年、2010年に発生している。

 

 

3.臨床症状


 慢性経過で倦怠、食欲不振、乳房炎となり、乳汁は淡黄色や絮状凝塊を含み、次第に乳量が減少し、無乳症になる。また、手根関節や足根関節などに多発性の関節炎や、角結膜炎が続発する。まれに流産や下痢もみられることがある。

 

 

4.病理学的変化


 乳房炎では、実質組織の萎縮を伴い線維素の充満がみられるカタル性乳房炎がみられる。手根関節炎および足根関節炎では、関節周囲に結合組織の異常な増生、関節周囲の水腫がみられる。眼病変として、結膜・虹彩炎や、角膜炎がみられる。

 

 

5.病原学的検査


 乳汁、乳房や病変部からのマイコプラズマの分離の他、PCRによる遺伝子検出などの方法もある。

 

 

6.抗体検査


 血清反応としては、補体結合反応、ELISA法が応用されている。

 

 

7.予防・治療


 海外では生ワクチンおよび不活化ワクチンが用いられており、治療にはテトラサイクリン系、マクロライド系などの抗生物質が投与される。発症家畜は早期淘汰が望ましい。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)

 OIE: Manual of Diagnostic Tests and Vaccines for Terrestrial Animals

 OIE: Terrestrial Animal Health Code


編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:細菌・寄生虫研究領域 江口正浩

(平成24年7月3日 更新)

  1. 01 ブルータング
  2. 02 アカバネ病
  3. 03 悪性カタル熱
  4. 04 チュウザン病
  5. 05 ランピースキン病
  6. 06 牛ウイルス性下痢・粘膜病
  7. 07 牛伝染性鼻気管炎
  8. 08 牛白血病
  9. 09 アイノウイルス感染症
  10. 10 イバラキ病
  11. 11 牛丘疹性口炎
  12. 12 牛流行熱
  13. 13 類鼻疽
  14. 14 破傷風
  15. 15 気腫疽
  16. 16 レプトスピラ症
  17. 17 サルモネラ症
  18. 18 牛カンピロバクター症
  19. 19 トリパノソーマ病
  20. 20 トリコモナス病
  21. 21 ネオスポラ症
  22. 22 牛バエ幼虫症
  23. 23 ニパウイルス感染症
  24. 24 馬インフルエンザ
  25. 25 馬ウイルス性動脈炎
  26. 26 馬鼻肺炎
  27. 27 馬モルビリウイルス肺炎
  28. 28 馬痘
  29. 29 野兎病
  30. 30 馬伝染性子宮炎
  31. 31 馬パラチフス
  32. 32 仮性皮疽
  33. 33 伝染性膿疱性皮炎
  34. 34 ナイロビ羊病
  35. 35 羊痘
  36. 36 マエディ・ビスナ
  37. 37 伝染性無乳症
  38. 38 流行性羊流産
  39. 39 トキソプラズマ病
  40. 40 疥癬
  41. 41 山羊痘
  42. 42 山羊関節炎・脳脊髄炎
  43. 43 山羊伝染性胸膜肺炎
  44. 44 オーエスキー病
  45. 45 伝染性胃腸炎
  46. 46 豚エンテロウイルス性脳脊髄炎
  47. 47 豚繁殖・呼吸障害症候群
  48. 48 豚水疱疹
  49. 49 豚流行性下痢
  50. 50 萎縮性鼻炎
  51. 51 豚丹毒
  52. 52 豚赤痢
  53. 53 鳥インフルエンザ
  54. 54 低病原性ニューカッスル病
  55. 55 鶏痘
  56. 56 マレック病
  57. 57 伝染性気管支炎
  58. 58 伝染性喉頭気管炎
  59. 59 伝染性ファブリキウス嚢病
  60. 60 鶏白血病
  61. 61 鶏結核病
  62. 62 鶏マイコプラズマ病
  63. 63 ロイコチトゾーン病
  64. 64 あひる肝炎
  65. 65 あひるウイルス性腸炎
  66. 66 兎ウイルス性出血病
  67. 67 兎粘液腫
  68. 68 バロア病
  69. 69 チョーク病
  70. 70 アカリンダニ症
  71. 71 ノゼマ病

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