届出伝染病

牛丘疹性口炎(bovine papular stomatitis)

牛鹿馬めん羊山羊豚家きんその他家きんみつばちその他家畜
対象家畜:牛、水牛

1.原因

 

 ポックスウイルス科、コルドポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス属の牛丘疹性口炎ウイルス(bovine papular stomatitis virus)。2本鎖DNAウイルスで、形態は楕円形をしており、大きさは220〜300×140〜170 nm、エンベロープを有する。

 

 

2.疫学


 日本を含む世界中で発生がみられる。皮膚の創傷にウイルスが接触し感染する。人も牛丘疹性口炎ウイルスに感染する。

 

 

3.臨床症状


 口およびその周辺に、発赤丘疹や結節を形成する。稀に水疱や膿疱、潰瘍まで進行することがある。痂皮を形成後、1か月程度経過すれば外見上治癒する。病変は局所性のため、牛が死亡することは少ないが、初期症状が口蹄疫に類似していることから鑑別が重要となる。

 

 

4.病理学的変化


 病変部組織において、有棘細胞の肥厚と空胞変性、好酸性の細胞質内封入体が認められる。

 

 

5.病原学的検査


 ウイルス分離は可能であるが、困難な場合が多い。PCRによるウイルス遺伝子の検出、PCR-RFLPによる近縁ウイルスとの鑑別、免疫組織化学的検査によるウイルス抗原の検出、電子顕微鏡によるウイルス粒子の確認を行う。

 

 

6.抗体検査


 寒天ゲル内沈降反応による抗体検出が一般に行われるが、検出感度は高くない。本法で結果が得られない場合は、蛍光抗体法等を行う。

 

 

7.予防・治療


 有効な予防や治療法はない。感染牛を発見した場合、一定期間非感染牛と隔離飼育し、飼育施設を消毒することで、二次感染の防止に努める。

 

 

8.発生情報


 監視伝染病の発生状況(農林水産省)

 

 

9.参考情報


 獣医感染症カラーアトラス第2版(文永堂)、動物の感染症第3版(近代出版)


口唇に形成された痂皮と潰瘍(原図:岩手県中央家畜保健衛生所) 舌および歯ぎんに形成された発赤丘疹と結節(原図:岩手県中央家畜保健衛生所) 歯ぎん病変の顆粒細胞の細胞質内に認められた楕円形のウイルス粒子 bar=200nm(原図:岩手県中央家畜保健衛生所)
写真1:口唇に形成された痂皮と潰瘍 写真2:舌および歯ぎんに形成された発赤丘疹と結節 写真3:歯ぎん病変の顆粒細胞の細胞質内に認められた楕円形のウイルス粒子 bar=200nm

写真原図:岩手県中央家畜保健衛生所


編集:動物衛生研究部門 疾病対策部病性鑑定グループ、文責:寒地酪農衛生研究領域 畠間真一

(平成29年9月21日 更新)

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